2018年10月から車の燃費カタログ表記が変わる。JC08モードから世界基準へ

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現在の「JC08モード」に代わる新しい燃費測定モード「WLTC」。


 ◆「WLTC」と「JC08」の違いとは
WLTCは燃費・排出ガス測定法の世界共通化を目指して策定された「WLTP」のテストサイクルである。
JC08モードは市街地から高速までを1サイクルとしていたため、出てくる燃費値はひとつだった。

それに対してWLTCは市街地走行を模した「Low」、郊外路に相当する「Medium」、制限速度の低い高速道路に相当する「High」、世界の一般的な高速道路相当の「Extra High」の4種類のサイクルがある。欧州では4モードすべてを計測するが、日本では最高速度131.3km/hのExtra Highを除く3モードだ。

 3モードではあるが、走行パターンはJC08と異なる。最高速度はJC08の81.6km/hから97.4km/hへと引き上げ。停車時間がほぼ半減することとあいまって、モード通算の平均車速は24.4km/hから36.57km/hへと、ほぼ50%高速化される。

また、JC08は暖気されていないコールドスタート1回、暖気済みのホットスタート3回の計4サイクルで計測するが、WLTCは100%、コールドスタートだ。 JC08からWLTCへの切り替えにより、公称燃費がより実走行に近づくという解説も散見されるが、実際には審査値はJC08と大きくは変わらない見込みだ。

事前研究でさまざまなクルマをJC08、WLTC両サイクルで走らせて比較してみたところ、JC08に対して相応に数値が悪化するのは低速走行が得意なハイブリッドカーや軽自動車くらいのもので、通常のエンジン車は僅差。アイドリングストップが未装備のモデルなどは、停止時間が半減した効果で数値がむしろ向上するものもあったという。
 

マツダCX-3の例では、FWD(前輪駆動)がJC08モード燃費17km/リットルに対し、WLTCが16km/リットル。AWD(4輪駆動)がそれぞれ16.2km/リットル、15.2km/リットル。両者とも燃費値の差は10%以下で、経産省の「JC08モードと同等」という見解を裏付けるものと言える。

 ◆よりユーザーに寄り添った燃費表記へ 
「これではJC08モード燃費値がアテにならないという問題は解消されないじゃないか」という不満が聞こえてきそうである。が、そうとばかりも言えない。前述のようにJC08モード燃費は市街地から高速道路までを含めたトータルのもの。燃費が低下する都市走行の比重が高ければ、カタログ燃費と大きく乖離するのは当たり前だ。 
それに対し、WLTCでは市街地、郊外、高速の3パターン、およびサイクル通算の、計4つの数値が明示される。CX-3・FWDのWLTC燃費値16km/リットルというのはあくまで通算値で、内訳は市街地12.2km/リットル、郊外路16.8km/リットル、高速18km/リットル。これからは自車の走行状況に応じてこれらの数値を目安にすればいいことになる。 


6月末時点でWLTC燃費値が発表されたのはCX-3のみで、これから事例が増えてくるものと思われるが、クルマの燃費は高速で燃費を伸ばす、市街地の燃費低下の小ささで稼いでいる等々、モデルによってポリシーが結構異なるものだ。WLTC燃費値の公表が進めば、「遠乗りが多いから郊外路での効率がいいクルマにしよう」「もっぱらお買い物と送り迎えに使うから市街地が得意なものを」などと、カスタマーそれぞれの使用パターンに合わせたクルマ選びをするのにも役立つようになるだろう。

出典:レスポンス
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